Works プロジェクトストーリー02

交通を調和させ、
“移動”の未来を幸せにする。
線路高架化および立体交差化プロジェクト
鉄道は市民の移動手段として、重要な役割を果たしてきました。しかし、モータリゼーションの浸透により、いわゆる「開かずの踏切」の存在などが深刻な交通渋滞を生み出すなど、様々な課題も生み出してきました。このプロジェクトストーリーは、そのような課題の解決に向けて京成建設が取り組んだ「線路の高架化」や「立体交差道路の建設」について、プロジェクトに関わったメンバーからお伺いした内容をまとめたものです。
  • TADASHI KAKIZOE
    土木本部 第一工事部
    2005年入社
  • YOSHINOBU SUGAI
    土木本部 第一工事部・第二工事部
    2005年入社(中途)
  • KEIZO HIRAMOTO
    土木本部 第二工事部
    2008年入社(中途)
Episode 01
鉄道と道路というインフラが
相克する事態の、解決を目指して。
「開かずの踏切」がもたらす交通渋滞についてはかねてから問題視されており、解決が可能な箇所であれば道路や線路を高架化・地中化するなど立体交差化で対応を進めてきました。1999年に約1000か所、2007年には約600か所と減少してはいるものの未だ開かずの踏切は存在し、その多くが人口が集中し産業の一大要衝である東京都にあることが、深刻な問題でした。
その問題の解決に向け、東京都が事業主体となり進められているのが、都内を走る各社の鉄道の「線路の高架化」です。京成電鉄の路線もその対象であり、主に東京東部を走る京成線において、交通上課題となっている箇所が検討されました。
今回紹介する平本が担当している事業は、京成押上線の四ツ木駅から青砥駅に至る約2.6kmの区間の高架化。垣添が担当した工区は押上駅から八広駅に至る区間の高架化です。

須貝が携わったのは、京成津田沼駅~大久保駅間の、JR線・京成本線・京成千葉線の3路線をまたぐ跨線橋建設。高架化ではありませんが線路周辺の交通課題の解決に向けた取り組みであるという本質は変わらず、事業主体が千葉県という自治体である点も変わりません。
Episode 02
押上~八広間の高架化
垣添が京成線押上駅から八広駅に至るまでの高架化プロジェクトに関わったのは、3年間ほどでした。この地域では環状4号線との交差箇所をはじめとしたいくつかの箇所の踏切が、慢性的な交通渋滞や踏切事故の発生の要因となっていました。
当該工区のプロジェクトは下り線を仮線に移設→上り線を仮線に移設→上り線を高架化し、計画線として運行→下り線も高架化で完成、という手順を踏んで進みましたが、垣添が関わった3年間では上り線高架化から下り線高架化に至るまであたりで、基礎部分の施工は終わっており仕上げ部分の施工に携わりました。しかし、敷地幅が7mとかなり狭く、距離は400mとなかなか長い場所での施工は順序や資材の搬入などを緻密に計画しないと成り立たないため、調整には常に苦労が付きまといました。
当該区間の施工は既に完成しています。垣添自身は人事異動のため完成の瞬間は見届けられませんでしたが、施工区間を電車で通過する際には、「このプロジェクトに関わってよかった」と感じる、と言います。
Episode 03
京成津田沼~大久保間にて、
3路線の跨線橋建設
2019年~2022年にかけて施工されたJR線、京成本線・千葉線の3線の上空を通過する跨線橋施工に取り組んだのは、地下化を含めた立体交差において高い経験値を誇る須貝でした。須貝の案件からは、鉄道と道路の相克においての課題は踏切による道路の遮断に限らず、路線そのものが地域の交通を分断する存在になり得る、という点が読み取れます。実際、跨線橋の完成により当該地区の南北の交通ルートが生まれ、地域の活性化に貢献することができたのですから。
施工は当然線路のすぐ近くで行われるため、電車の運行に支障をもたらさないよう細心の注意を払う必要がありました。また橋脚施工の真上を東京電力の送電線が低い位置で横断しており、施工においては感電の防止も課題となりました。
課題解決のために須貝たちが選択したのは、ITの導入でした。送電線との接触防止のためにレーザーによる監視を導入、そのほかwebカメラの使用や重機のリモート管理など技術を駆使し、安全の確保を図りました。
2022年の人事異動で須貝は現場から離れましたが、案件は2027年~2028年あたりの完成を目指して施工が進んでいます。
Episode 04
四ツ木駅~青砥駅間の高架化
平本が2016年から赴任しているのが、葛飾連立第4工区と呼ばれる四ツ木駅~青砥駅間の高架化事業の内、青砥駅側の工区です。第4工区はJV(Joint Venture:複数の企業が共同して建設に取り組むスタイル)での施工で、JV案件の経験が豊富な平本に白羽の矢が立った形です。
現在、計画線の基礎杭工事と下り線の仮線工事を進めていますが、まだ施工ははじまったばかりと言っていい状態です。平本の担当区間は、既に高架化している区間を新設の区間に合わせて高さを上げる施工も混ざっているなど複雑で難易度が高い区間でもあります。
近隣の住民の方々にとって踏切問題は長年の悩みの種でもありますが、いざ自分の生活圏に工事のための仮囲いが出来たりすると、「聞いてないぞ!」というクレームを受けたりもします。平本は、粘り強く近隣の皆様とコミュニケーションを積み重ねながら、現場全体で騒音・振動対策と共に現場周辺の清掃を徹底するなどして、信頼を勝ち取ることを目指しています。
少しずつですが、近隣の皆様の中で、笑顔で挨拶を交わせる人も増え、工事を応援して下さる方の輪が徐々に広がっていることを、平本は感じていると言います。

垣添、須貝、平本が手掛けているもの。
それは、「出かける」や「動かす」といった移動の、幸せな未来なのです。